虫たちの祝宴-大屋厚夫
先週末、自宅に届いた一冊の新刊本。
「虫たちの祝宴―雑木林の博物誌2」(出版芸術社)。
このたび、写真家、大屋厚夫氏が新刊「虫たちの祝宴-雑木林の博物誌2」を発表されました。大型本ですが、いわゆる写真集という範疇ではなく、写真と文章が対等に主張し合い、かつ見事に調和した上質なフォトエッセイと言ったほうがふさわしいでしょう。長年にわたる鋭い観察力と科学的根拠を交えた考察力で、四季折々の雑木林の表情とそこに生きる昆虫の不思議な生態を語っておられます。僕自身も読ませていただいて、「あぁ、なるほどそういうことだったんだ。」と氏の的確な解説に相槌を打つこともしばしばでした。
大屋厚夫氏は岡山市在住。医師であり写真家であり、日本蝶類学会(フジミドリシジミ)の会長でもあり岡山の昆虫界では知らない人がいないくらいの存在です。
実は今回、ある方を通じて大屋氏からヒメボタルの写真を探しているとの連絡を受け、僕が昨年撮影したヒメボタル(とゲンジボタル)の写真(ブログでは未公開)をお見せしたところ、思いのほかとても気に入っていただき、ぜひA4見開きのA3サイズで掲載したいとの申し出をいただきました。それがトップのヒメボタルの写真というわけです。
大屋氏は、この本の中で「ゆらめくホタル合戦」というホタルについての文章を書かれていますが、「合戦」とはどうやらこの写真にあるヒメボタルとゲンジボタルの競演のことを表現していただいたようです。
真闇に繰り広げられる-燃え尽きるように乱舞するヒメボタルの蛍光群を越えて、ゲンジボタルが蒼白い蛍光を点灯しながら、ゆるやかに飛び過ぎてゆく-それは天の川を横切る流星群のようにも見える。
それにしても「天の川を横切る流星群」や、写真下のコメント「かぐや姫の幻影」というのは実に絶妙な比喩ですが、そもそも僕の拙い写真にはもったいない表現のような気がします。(苦笑)
最後に「虫たちの祝宴-雑木林の博物誌2」の中に書かれた文章の目次を一部紹介させていただくと・・・
・ギフチョウの博物誌
・「ユウスゲ」を食う「フサヒゲルリカミキリ」
・珍蝶「ヒサマツミドリシジミ」
・擬態-目立つ戦略/隠れる戦略
・究極の変身・鳥糞になりきる
・生きた宝石「タマムシ」
・四段階の威嚇「メンガタスズメ」
・「虫糞ハムシ」か「屁糞カズラ」か
・雑木林のセミ時雨
・虫の息
・芳香を放つ「カメムシの仲間」
・「カブトムシ」の角はなぜ長い
・クヌギ亭・甘味処の「オオムラサキ」
・「髪切」か「噛切ムシ」なのか?
などなど、昆虫好きにとっては思わず読んでみたくなる興味深いタイトルがずらり。もちろん大屋氏自身が撮影された実に約45,000枚の写真の中から苦労して選りすぐったという雑木林の昆虫の生態や瞬間を捉えた素晴らしい写真は随所で目が釘付けになります。昆虫、自然観察好きの方にはオススメの一冊です。
さらに編集後記として、大屋氏の昆虫写真の撮り方とテクニックも公開されていますので大変参考になると思います。
「虫たちの祝宴―雑木林の博物誌2」(出版芸術社)。大型本198ページ。価格4,830円。
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コメント
yamaさんも今まで撮り溜めた写真、書き綴ったブログをまとめられたら・・・私、購入申し込みます!
投稿: よしとう | 2010/07/01 8:14:02
>よしとうさん
どうもありがとうございます。
いつかそういう日が来れば購入をお願いします。(笑)
投稿: yama | 2010/07/03 23:39:16
ぬわぁー!
ほんまどきどきするタイトル、読み物写真集、ステキw
憧れのyamaさんの写真も見れるし、こりゃ買いだっw
もうすぐ誕生日なんで~おねだりっムフフ♪
投稿: tanu | 2010/07/06 15:22:53
>tanuさん
遅レスすみません。。。
もうすぐお誕生日すか。
おめでとうございます!!
おっ、タイトルに興味津々!?
こちらの思惑通り、ありがとうございます。(笑)
投稿: yama | 2010/07/12 7:03:00